第二十九話 区切り―――アルセイユ「五分だな。こちらに防衛部隊を組んで正解だったか」 アルセイユは数個のアヘッド部隊に進攻されていたが、枢木スザク(くるるぎ スザク)中尉、C.C.(シーツー)少尉、紅月カレン(こうづき カレン)少尉が率いる各隊がアルセイユを撃沈させないでいた。 「やはり隊長とガンダムマイスターに前衛を任せてよかったな。こちらに小物を大量に配置してきている。数で対抗する気か・・・スザクは前に出てアヘッド部隊をアルビオンで潰せ!!他の人員はC.C.のフロンティア、カレンの聖天八極を中心に守りを固めてアルセイユを死守しろ!!」 『『『『了解!!』』』』 第二十九話 区切り 「何でお前たちがここに居る!!」 「それは君も同じだ!!」 ミリアルドは敵のガンダムに叫んでいた。 ストライクフリーダムガンダムのパイロット、キラ・ヤマト。 インフィニットジャスティスガンダムのパイロット、アスラン・ザラ。 ディスティニーガンダムのパイロット、シン・アスカ。 3人はミリアルドの幼少期の親友だった。 家が近く、学校も一緒だった3人は、放課後になって直ぐに遊んでいた。 だが3人が訓練学校を卒業する時の進路決定時にそれも終わった。 ミリアルドは現在通っている管理局魔導師養成学校『翠聖(すいせい)学園』を選んだが、彼等は揃って統合軍兵士養成学校『蒼聖(そうせい)学園』を選んだ。 ミリアルドは近場だった実家に住む事になり、3人とミリアルドは別の道を行った。 そして2年後の今日――― この戦場という場所での再会を果たしたのである。 ―――同空域、練 「おらあああああぁぁぁぁ!!!」 「てええぇぇぇい!!!」 スローネの赤色のビームサーベル(こちらは完全に化学兵器)とデュナメスの桃色のビームサーベル(こちらは魔力と気、更に星の核を融合させた魔法の剣)が激突し、火花を散らす。 「よくもヨハン兄を!!」 もう1本抜いて斬りかかって来るのを後ろに下がって避け、ビームピストルで牽制する。 「当たらないよ!!」 全ての弾丸を避け、背中のGNコンデンサから大量の赤い粒子を放出させる。 (何が目的だ・・・?まさか!!) 練は腕の通信機を見たが、表示されているのは『電波障害』の4文字。 してやられた。あのGN粒子には通信障害を引き起こす能力があるらしい。 「よそ見してんじゃないよ!!」 ビームライフルを撃って来る。ビームは一応全てGNフルシールドで防げた。 (万事、休す・・・か・・・!!) ―――同空域、レーヴェ 「ライドベルト・・・そうか、お前も戦士になったか。やはりお前は兄同様、刀をを使うのか」 レーヴェはライドベルトという少年と対峙していた。歳はレーヴェの2つ下。 「そうだ。あんたが殺した兄貴の敵を討つため、俺は兄貴の学んでいた刀術を学んだ!!そして兄貴を越えたんだ!!だから、あんたもここで超えてやる!!」 ライドベルトは腰から片刃で細身の刀を抜いた。 「そうか・・・あのジーグを超えたのか。だがお前は俺には勝てない。俺はあの時より強くなっている」 ライドベルトの兄ジーグは、レーヴェと一緒に以来を請け負ってモンスター退治をしていた。 ある時、二人は『コカトリス』と呼ばれるモンスターを退治しに行った。 コカトリスから分泌される体液は人には猛毒で、浴びた人間を狂気の果てに追い込む。謂わば覚せい剤の様な物。 簡単に言えば、『浴びた人間は理性が崩壊し、自分の意思とは裏腹に破壊行動を行う』という作用だ。 ジーグはそれを浴びた。彼は弟と親友を殺すのは嫌だと言い、レーヴェに殺させた。 それが真相だが、ライドベルトは知らない。ジーグとの約束で言ってはいけない事になっていた。 「俺だって強くなってるんだ!!」 刀を構え襲い掛かってくる。 「正面からとは馬鹿正直だな」 左手で黄金の剣を抜き、ライドベルトの左側から斬り付ける。 だが、手応えが無い。 (幻影か!!) 「うおおおおおおおお!!!」 レーヴェの背後からライドベルトが襲い掛かる。何とかそれを右手のGNソードで防いだ。 (くっ・・・本当に強くなったな、ライドベルト) ―――同空域、セシリア 「ふう、粗方片付いたわね」 セシリアは周りを見渡す。あるのは、アヘッドの残骸とそれを駆っていた人間の肉片だ。 「ルルーシュ、手伝うとこある?」 『そうだな・・・ミリアルドとシード中佐の場所を頼む。それで3対3だ』 「了解。直ぐに行くわ」 セシリアは、ミリアルドの場所へと急いだ。 (待っててね、ミリアルド!!) ―――同空域、リーズバイフェ 「こんな物か」 セシリア同様、ここにはアヘッドの残骸とパイロットの肉片しか残っていない。 「ルルーシュ、何か私に出来ることは?」 『ならアルセイユに戻って来て下さい。守りを固めます。あと、付いたら休憩を挟んで。少しでも休憩は大切だ』 「解った。直ぐに向かう」 リーズバイフェはアルセイユへの帰艦を始めた。 ―――同空域、アルセイユ 『ルルーシュ、敵が退がって行く!!』 アルセイユの通信機からスザクの声がする。 「何?後退だと?」 『こっちも同じみたい。スザクの所みたいに、敵が下がっていくよ』 カレンもまた同じ報告をする。 (奴らは誘っているのか?陽動して引き寄せ、所定の場所で攻撃して俺たちを潰す、という事も有り得る) 『どうするんだ?ルルーシュ。敵の陽動かもしれないぞ』 C.C.の考えはルルーシュと一緒だった。 「敵も疲弊している。もし罠だとしたら追撃した俺達は恐らく撃沈されるが、行かなければ攻撃もしてこないだろう。撤退信号を出せ、スザク!」 『イエス・ユア・マジェスティ!!』 スザクが腰に付けていた信号弾を取り出し、上に向けて放つ。幸い、大気圏内なので上下は解る。 ―――同空域、ミリアルド 「ミリアルド!!敵に構っちゃ駄目!!」 セシリアがスナイパーライフルで牽制する。 「くっ・・・!!」 3人が散った。 (そうだ。俺には、大切なものが、守りたい命があるんだ。それと敵の親友は天秤にかける価値もない) ミリアルドはドミニオンを構えた。 「どうやら、俺はお前達を殺さなければ地獄を見るらしい」 比喩じゃない。本当の事だ。 セシリアの居ない世界。ミリアルドには、想像出来なかった。 「なら、僕達の守るものの為に、君を倒す」 3人がビームライフルを構える。 ミリアルド、シード、セシリアも構える。 その時、双方で閃光が煌いた。 「撤退信号か。二人とも、引き上げるぞ」 シードがそう言って先に発った。ミリアルドとセシリアもそれに続いてアルセイユに帰艦した。 ―――数分後 「練!!大丈夫なのか!?」 カタパルトデッキに戻ってきた練は右目を負傷していた。 「大丈夫さ。利き目をやられたがな。その代わり、アインもドライも撃墜したぜ」 「そういう問題じゃないぞ!!早く医務室へ!!」 渋々ながらも練はシードに連れられ医務室へ向かった。 『ミリアルド。作戦がある。ブリッジに来てくれ』 ルルーシュから通信機に連絡が入った。 「ん。了解した」 ミリアルドはそっとカタパルトデッキを後にした。 ―――アルセイユ艦橋 「んで?作戦って何だ?」 ミリアルドがルルーシュに尋ねた。 「ああ。恐らく、敵はアヘッドを今回より大量に投入して数をぶつけて来る筈だ。位置取りから考えてアルセイユの左右中央から攻めてくるだろう」 モニターにアルセイユのマーカーと敵部隊のマーカーが映る。 アルセイユは右にあり、その左上、左、左下から敵部隊が接近していた。 「だからお前とスザク、セシリアには最前線を頼みたい。アヘッド部隊を思う存分蹴散らしてくれていい。後ろは気にするな。抜かれてもシード中佐とリーズバイフェ隊長、カレンにC.C.もいる」 アルセイユから3つのマーカーが放たれ、細かい敵部隊のマーカーが次々と消える。 あぶれてアルセイユに接近したマーカーも新たにアルセイユから放たれたマーカーが消す。 「これでどうだ?」 「解った。その作戦を実行しよう。その後の指揮もルルーシュに任せる」 「有り難う。お前も休んでおけ。いざと言う時に動けない様だとこちらが不利になる」 「解った。遠慮なく寝させてもらう」 そうしてミリアルドは艦橋を後にした。 ―――自室 「ふぁぁぁぁぁぁぁ」 欠伸が出る。眠い。 「今頃なのは達は」 何をしているのだろうか?任務にも出かけているのだろうか。 「あいつ等の力があったらとっとと終わるのに。レジアスのオッサンは酷いもんだ」 レジアス中将は『地上は我々ミッド地上本部が守る』と言って本局の支援を断った。 「たくっ。考えが古いぜ。何で仲間同士で助け合えないんだ」 文句を言っているうちにミリアルドの目はいつの間にか閉じられていた。 To Be Continued... ジャンル別一覧
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